椎間板疾患とは、椎間板物質が脊髄神経の真下その付近にヘルニアを起こし神経部分を圧迫されて加わってしまった状態です。一瞬で起きるケースもあれば、何年も負担をかけて徐々に発生する慢性のこともあります。先天性や不規則な体勢を続けたりと要因は様々です。
椎間板の成分がやわらかくて柔軟なゲルの状態から硬い結晶状へと変化する事が知られています。硬い物質が脊髄をゆっくりと圧迫して、急激に脊柱管内に入り込むことがあります。脱出を起こした椎間板が脊髄の真ん中あたり(胸腰部)である場合は前肢の神経は影響を受けないので前肢は正常なままでいられます。ただ後肢は様々な程度に影響を受けることがあります。
症状は、軽いものから重度のものまであり、軽いものでは歩行をいやがる、過敏になる程度ですが、重度のものでは、歩行不可能な足の麻痺・痛覚もなくなる完全な麻痺・千鳥足・排便、排尿の障害などがみられます。
脊椎は、いくつもの骨(椎骨)からなって柔軟な構造になっており、椎骨間にショックアブソーバーの役割をする椎間板という円板が存在します。これが堅くなって飛び出て神経を圧迫するのが椎間板疾患です。神経が圧迫されるとそこより下方では麻痺などの障害が起きてしまします。ダックスフント、ビーグル、ペキニーズ、コッカースパニエルでは発生が多く、その他の犬種でも加齢にともない発生することがあります。
軽度のものでは運動制限と薬物療法で回復することもあります。しかし、進行したものでは手術が必要です。痛覚がなくなるような麻痺の場合、48時間以内に手術を行わないと手遅れになることが多く、回復後にも長期のリハビリテーションや、膀胱の感染の治療などが必要になります。
内科的治療の場合、最低でも四週間の厳密な安静が必要となる。この間の休養によって、椎間板物質の上に瘢痕が形成されていきます。良くなったと思い早く運動をや歩行させた時に、椎間板の他の部分がヘルニアを起こしてしまい悪くなる可能性があるので注意が必要です。一日に何回かは排便や排尿のために外へ連れ出すのはいたしかたありませんが、椎間板ヘルニアの早期の再発のほとんどの理由は、犬をじっとさせなかったことによるものですので、飼い主さんがじっと我慢して辛抱強く見守ってサポートしてあげてください。
※犬は生後5~7年で人間の「中年期」に入ります。 |