心房中隔欠損症は、比較的多い先天性の異常で、とくに重大な症状が出ない事もあります。心房中隔に穴があいている奇形で、心臓の右心房と左心房の間の壁に穴が空いてしまった為に起こる病気です。通常、胎児の時には心臓の右心房と左心房の間の壁に穴があいていて、生まれた後で穴は完全に閉じます。
ただ心房中隔欠損症の場合には、成長後も穴(卵円孔)が閉じることなく残ってしまいます。右心房と左心房の間の穴が開いている以外に心臓に異常がない場合は、血液の流れがあまり負担はなくて大きな障害にならないケースがほとんどです。
一般的には無症状で気付かないこともあります。欠損孔が大きいと呼吸器感染を起こすこともあります。生後6ヶ月くらいから呼吸困難や咳などの症状があらわれてきます。
発症しやすい犬の種類は、ポメラニアン・ジャーマン・プードル・コリー・シェットランド・シープドッグ・シェパードに、よくみられメス犬に発生頻度が高い傾向があります。フィラリアにより起きるケースも関係あります。逆に心房中隔欠損症の犬がフィラリアに寄生されたケースで、虫が卵円孔を通じて右心房から左心房に移動し問題をおこすことがあります。
無症状でもフィラリアに感染してしまいますと、この穴を通じて左心系に進入して末梢の動脈に詰まってしまいます。それにより手または足先が腐敗する事もあるので、フィラ リア症を確実に予防しなければなりません。
特に症状がなければ、経過をみるだけで、治療を必要としないことがほとんどです。ですが、穴が大きい、もしくは症状が重いという場合は、手術をして穴を塞ぐということもあります。
※犬は生後5~7年で人間の「中年期」に入ります。 |