皮膚の中や限の周囲にできる腺腫は、油脂を分泌する皮脂腺から発症するため皮脂腺腫と言われます。皮脂腺(ひしせん)は、皮膚の毛根部分にあって、体表の脂を出す部位です。そこの出口がつまってしまって、中で化膿を起こしたり、しこりになってしまったものが皮脂腺腫です。老犬に多い疾患です。
良性の腫瘍に分類されます。小さな腫瘤が多発するケースがあります。皮膚の腫瘤以外の症状は少ないものの、稀に二次的な炎症・感染を誘発する事もあります。犬の皮膚の腫瘍のうちの約5~35%ぐらいを占めています。
腫瘍の転移はまれですが、局所再発は多いため、広範な外科的切除が有効な治療です。治療は手術によって切除します。再発は特にありませんが、多発することが多いので別に新しい腫瘍ができることがあります。
去勢手術をしていないオスでは、ほかの腺腫である肛門周囲腺腫が、肛門周囲の腺組織から発症します。皮脂腺腫は被毛をもたないで、分葉状に増殖しますが、直径2cm未満です。良性の腺腫のようにみえる腫瘍が、悪性の腺がんであったケースもあるので、しっかりとした検査や経過観察が必要です。
※犬は生後5~7年で人間の「中年期」に入ります。 |