正常な猫では、体内の脂肪組織、食べ物から摂取した脂肪や、肝臓の間で脂肪酸の循環がおこなわれており、そのバランスが重要なのです。過剰に餌を与えると、摂取と消費の収支バランスが崩れ、肝細胞に過剰な脂肪が溜まっていくのです。特に肥満の猫ではなんらかのきっかけで4-5日食べない状況がでると一気に黄疸が出て死亡することもあり、これを肝リピドーシスといいます。
肥満動物は貯蔵脂肪が大量にあるため食事を取らないとエネルギー源として体脂肪を使い始めます。そしてますます脂肪酸の収支バランスをくずしてしまいます。よってこの治療法としては点滴や強制給仕でエネルギーとしてグルコースをあたえ、体脂肪からの動員をストップするような支持療法が中心となります。
脂肪肝、肝硬変などの病気になる傾向として、愛猫をかわいがっており、欲しがるままに餌を与え続けてしまった飼い主さんに多いです。症状が出てからでは手遅れになってしまっている場合も多く、飼い主さんやご家族の優しさが愛猫の不幸にし後悔することになってしまいます。
さらに肥満は脂肪肝だけでなく、糖尿病や、足腰の病気、皮膚病、呼吸器疾患等も引き起こします。これから先を見据えて、きちんとしたバラススの良い食事管理をしていきましょう。また、脂肪肝だけで、なんら無症状であり、肝硬変にまで至っていない状態だと回復は可能です。
※猫は生後5~7年で人間の「中年期」に入ります。 |